人はなぜ、未だ知らないないものについて話し合い、力を合わせてそれに接近することができるのでしょうか。
あらゆる人による創造は、話し、力を合わせる能力なしには、現在とは違う歩みを見せていたでしょう。都市や産業、科学や文化の発展において、協力が不調に終わり、その結果として生まれる数多くの「失敗」が日常であることは否定できません。それでも、人の創造性すべてを偶然で説明することもまた、受け入れ難いとすれば、私たちはここに、何かしらの能力の存在を認めなければならないでしょう。私たちは、その能力がどんな姿をしており、どのように現在の文明をもたらし、未来に向けてどんな可能性をもっているのか、もっと知りたいと思っています。
人を人たらしめ、その営みを形作ったもの。私たちを可能にするもの。それを神の御業と呼んでも、真理と呼んでもよさそうです。私たちは Project Theory と名付けました。未だ知らないないものについて話し合い、力を合わせてそれに接近する能力を、人らしさの根幹に据え、それをプロジェクトという言葉を借りて表現しています。
そして、まだ手に届かないところにある真実を知るために、その能力そのものを駆使しようと決意しました。未知の領域を言語でとらえようとしながらも、一方でそこからこぼれ落ちるものに好奇心を向けることで、自らの理解の範囲を超え続けようとする態度。私たちの呼ぶ Probe は、そのような振る舞いです。それは、知的な実践でもあり認識でもある、プロジェクトの多元的な在りように対応しています。
私たちは、こうした能力や態度を他の動物にはない人らしさと密接に結びつけて考えています。Homo Projecticus (プロジェクトする人) - その名は、自らよりも大きな存在と向き合う意志、そして、自らの内面に無限を写し取ろうとする勇敢さを称えるために、ふさわしいものになるでしょう。
このように Project Theory Probe が自らの存在に目覚め、歩み始めたことを、ここに宣言します。
2023年10月